ハイドン 交響曲第85番変ロ長調 「王妃」
[No.123] 2009/11/06 (Fri) 10:03

最近お気に入りのヴェーグの指揮から今日はハイドンの交響曲第85番、「王妃」というニックネームが付いている曲です。王妃というあだ名の由来はマリー・アントワネットが好んでいたということからのようです。その為もあってかフランスで愛好されたそうです。またこの曲の第2楽章にフランス古謡「優しく若いリゼット」を主題とした変奏曲であるることも大きな理由かとも思います。曲は華麗で気品があってハイドンらしいユーモアもあって親しみやすい交響曲です。全体的にはヴェーグ独特の歯切れが良くて、みずみずしいフレージング、爽やかではあるが男性的で気持ちの良いハイドン。変わったことは何もしていないのに無味乾燥にならないのがヴェーグたる所以。ニュアンス豊かにして爽快。2楽章の弦を刻みながら豊かに歌っていくところは美しくも爽やかさの極みで最高の聞き所。メヌエットの楽しいトリオ、そして快活で上機嫌なアレグロで音楽でしめくくるのはハイドンお決まり?
ライブ録音ながらなかなかの出来。ただ音場感ほもうひとつで広がり、奥行きもいまひとつ欲しいところ。しかし歯切れが良くて聴きやすい音なのでさしたる不満にはなりません。またアンサンブルがいいので聴いていて気持ちがいいのはヴェーグに共通する美点です。
拍手入り。同じ盤に収録されている1年後の88番、96番「奇跡」のほうがいい音で録音されています。89点
1992&93年ライヴ録音(デジタル)。一緒に第88番「V字」 ・第96番「奇跡」を収録。ザルツブルク・カメラータ・アカデミカ
モーツァルト ピアノソナタ変ロ長調K281
[No.122] 2009/11/04 (Wed) 10:35
久しぶりにホロヴィッツが聴きたくなりました。何を聴こうかと考えた、迷うほどの枚数はないのですが「ホロヴィッツ・アット・ホーム」というアルバムからモーツァルトのピアノソナタK281にしました。この曲は以前にギレリスとL・クラウスの演奏で取り上げているので3回目、、レパートリーが狭いのでご容赦ください。最初の音が鳴り出してまず思ったことは柔らかなタッチのピアノの音でした。私の聴いた範囲ではホロヴィッツのピアノって硬質で煌びやかな音とというイメージがあったのですが、意外とも思えるくらい潤いのある柔らかなタッチの優しい音でした。興の赴くままのピアノという感じですがK488の協奏曲で聞かれたような乱暴さというか気ままなものまでにはなっていなくて、ニュアンス豊かな軽やかな美音でこの愛らしいソナタが一層魅力的に聞けます。特に美しい弱音と柔らかくて芯のある強い音との対比が心地よく、ちょっとロマンティックに過ぎるかと思うところもありますが一つの名演ではないかと思います。ギレリスの眉間に皺を寄せて人を寄せ付けないような孤高な演奏とは対照的で、何か微笑みながら、モーツァルトを楽しみながら演奏しているようにも思えました。同じ楽譜からこんなにも違った音楽が生まれてくる、クラッシック音楽の醍醐味を味わわせてくれた演奏でした。
録音はニューヨークのホロヴィツの自宅で行われたそうです。ピアノはスピーカーの中央にほどよい大きさで定位。スケールの大きなものではありませんが柔らかくて今までのイメージとは違ったホロヴィツの演奏が聴けました。 90点
美空ひばり ジャズ&スタンダード
[No.120] 2009/11/02 (Mon) 10:09
故岩城宏之氏が美空ひばりをマリア・カラスと並べて世界の二大女性歌手だと評していたと記憶しています。残念ながらわたくしはどちらも馴染めなかった。カラスのLPは代表的なものは入手しましたがCDに切り替えた時に全部処分してしまったし、美空ひばりは上手いとは思っていたけど聴く世界が違っていたし音盤を買うという気には到底なれなかったですね。ただ例外としてデビューしたての頃の歌唱は天才ならではのもがあって少しは聴いていました。特に子供の頃の、デビューしたての歌は本当に天才としかいえない節回しと天与のまっすぐな声には上手いな〜と感じ入っていたものでした。で、今日取り上げたジャズのCDですが。。。だいぶ前のことですがFM放送で「スターダスト」が流れてきました。妙に演歌っぽかったのですが、歌自体は上手くてジャズになってる、なってるけどおかしい、演歌っぽい、だけど魅力がある。誰なのかと思って聴き終わるとアナウンスで美空ひばり!!美空ひばりかー、とびっくりしたり納得したりで休みの日には例によって石丸でこのCDを購入していました。余談ですが、それからだいぶ後になって某雑誌に於いてこのCDを褒めていた記事を見て我が意を得たりと思ったものでした。
日本語訳で歌っているものもありますが、英語で歌ったほうが流石にしっくりきます。しかしいずれの曲もひばり流で歌っていながらも、説得力のあるものにしてしまう歌唱力はやはり一代の名歌手といいたいです。演歌風ジャズというかジャズを素材にした演歌??美空ひばり独自のジャズであり世界です。全16曲、あえてベスト3を選べば「恋人よ我に帰れ」「スターダスト」「A列車で行こう」この3曲でしょうか。
録音は昔のスタジオ録音の典型のようなものでレンジも狭く歪みも多い。しかしヴォーカル自体はしっかりしていて、鑑賞に不都合のないものになっています。
ただし一部古い音源のもので聴き苦しいものもあります。 〜87点
1 虹の彼方に
2 ラブ・レター
3 上海
4 恋人よ我に帰れ
5 アイ・ラブ・パリ
6 ばら色の人生
7 セ・マニフィック
8 クライ・ミー・ア・リバー
9 スターダスト
10 アゲイン
11 ダニー・ボーイ
12 愛さないなら棄てて
13 ブルーベリー・ヒル
14 A列車で行こう
15 愛のタンゴ
16 慕情
ベートーヴェン ピアノソナタ第23番ヘ短調作品57「熱情」
[No.119] 2009/11/01 (Sun) 10:03
リヒテル(当時はリフテルだったような記憶ですが?)という名前を耳にしたのはカラヤンと競演したチャイコフスキーのピアノ協奏曲のLPが発売された時だったと思います。その演奏が音楽誌で賞賛されていて、あちこちでその名前が目に入ってきました。どこでも絶賛、それらの記事を読んですごく欲しかったのです。しかし当時はクライヴァーンのLPで聴いていて、まあ生徒の分際で同じ曲のLPを複数持つということは許される訳もなかったわけで諦めたのでした。それから暫く、数年たってからのある日、FM放送で耳にしたのが熱情ソナタの第3楽章。これには耳を奪われました。当時、今でもそうですが、演奏の違いを聞き分ける鋭敏な耳を持っているわけでも無かったのですが、この3楽章、特に終結部の怒濤のような迫力には心底圧倒されてしまいました。曲が終わってアナウンスを聞くとリヒテル。当時の同じパターンですが休みの日には石丸に行ってLPを買ってきた次第でした。わたくし、オーディオも好きなので大抵のものは録音の良いものを選び、聴き苦しいものはあえて選ばないのですが、例外もあって音を度外視しても聴きたいものもあるわけで、このリヒテルによる「熱情」ソナタもそんな中の一枚というわけです。第1楽章から迫力満点、粒立ちのいい高音とドスの効いた低音がひときわ印象的でぐいぐいと聴き手をリヒテルの世界に引きこんでいきます。ただただ無類の力を感じさせるベートーヴェン。リヒテルの場合時として強引さ、乱暴さを感じさせることが無きにしもあらずなのですが、このベートーヴェンではそんなことは感じさせないばかりか、それが無比の推進力を生んでいるようで奔放で豪快。それが一番はっきりと現れているのが第3楽章の終結部。この怒濤のような高揚感に溢れた音楽にはただただひれ伏す他はない雄壮無比の音楽になっていて何度聴いても素晴らしいの一言。いろんなピアニストの「熱情」を聴いてきましたが、いまだにリヒテルを、特に第3楽章の鬼気迫るような迫力をもって弾かれた演奏は聴いていないと敢えて断言してしまう次第です。
録音は1962年。アメリカでのライブ。ライブということを差し引いてもSN比は良くないし歪み感も耳につきます。一応ステレオなのですがモノに近くて音像は中央にあまり大きくなく定位。ピアノといことでステレオ感がなくても大きなネガにならないところが不幸中の幸い??ということで余りいい音ではないのですが、音を忘れさせてしまう希有な演奏だと思います。 83点
ビゼー 交響曲第1番ハ長調
[No.118] 2009/10/30 (Fri) 09:45
ビゼー若書きの傑作。若いときに作曲されたというからではないけれど若い時に随分と楽しませてもらった曲でしたが最近はご無沙汰でした。この部屋にオーディオをセットしてから昔聴いたものがどんな風に聞こえるかも楽しみの一つ。で、古いビーチャム盤を取り出しました。オーケストラはフランス国立放送管弦楽団で、このオケはビゼーの交響曲と相性がいいのか、いろいろな指揮者と名盤を残していますね、クリュイタンス、ミュンシュ、マルティノン等。まずオーケストラの音、特に弦楽が一種独特の音がすごく魅力的。柔らかいというより少し硬質、といっても否定的な意味ではなくてキラキラと輝くような音で軽い、軽質な魅力。これがこのオケの特徴なのか他の盤は未聴なのでわかりませんが、これがとにかく耳に心地よい。それが一番美しい形で現れたのが第2楽章。すっきりと爽やか、甘いけどべったりとすることのない音、上等の砂糖菓子のようで口に残らない。その美しい弦楽伴奏にトッピングされた?オーボエの美しいこと!ちょっと哀感があって、素朴ながらも粋でお洒落実でセンスが良くて、もう脱帽するしかない音のご馳走という感じです。他の楽章も同じように爽やかで軽くて心地よい音楽。ビゼーの交響曲かくあるべし、そんあ思いを抱かせるくらいの秀演。この若々しくて躍動感とエレガンスに満ちたビゼーの交響曲を満喫できて大満足、名盤の誉れ高いことを再認識いたしました。
録音は1959年。レンジは広くないし古さは否定できませんが、弦が独特の美しさ、もしかすると色づけを持った録音かもしれませんが、ここではそんこと言うのは野暮というものでしょう。広がりはスピーカーの幅で決まってしまうタイプ。奥行きは水準ですが、聴き物である第2楽章は自然な奥行き感を持って歌われるオーボエのソロが秀逸です。 全体的には87点クラスなのですがこの雰囲気の良い音と演奏には脱帽なので90点です!!
トマス・ビーチャム指揮
フランス国立放送管弦楽団




